現在、日本の精神医療福祉はさまざまな立場から変革の必要性が語られ続けています。
これまでに“地域でのあたり前の生活“を実現するために包括型地域生活支援プログラム(以下、ACT)が登場し、地域生活を重視した精神科医療のサービスに新たな取り組みが始められてきました。さらに、リカバリーの考え方や、ケアマネジメントの導入が当事者の利用できる地域支援サービスとして整えられてきました。
そのような状況のなか、「オープンダイアローグ」が日本に紹介され注目を浴びています。オープンダイアローグとは、当事者、家族、そして当事者を支えるネットワークにかかわる人たちが集まり対話を行うことです。しかし、ACT同様、諸外国と日本では精神科の治療法や医療システムが大きく異なっています。そのため、日本でのこのモデルの展開はごく一部の病院、クリニック、訪問看護ステーションなど医療系サービスが主体となった実践が先行的に取り組まれているだけです。
わたしたちは、オープンダイアローグという支援の取り組みをフィンランド、現地のケロプダス病院で学び、わが国においてもその意義と実践方法の有効性を活かせるよう模索してきました。そこで、【日本の精神科医療へのメッセージ】テーマとし、これまで取り組んできた私たちの知見や考えについて、皆さんと対話的ミーティングで一緒に共有し、それぞれができることを確認しながら、精神科医療福祉における支援のニーズや新しい疑問や問題を共有し、精神科医療福祉における支援モデルについて皆さんと考えていきたいと思っています。
本研究は、科研費基盤研究C「精神障害者と家族、支援者を支えるためのダイアローグを用いた参加型実践的研究」の助成を得て実施しています。

①プライバシーの確保された場所で、約90時間、ミーティングを行います。 ②毎回最初に研究の説明とルールの説明を行います。 ③当日ミーティングに参加されている方に自己紹介をしていただきます。
自己紹介はお名前やご所属ではなく、ご自身が参加者にお伝えしたい内容でかまいません(ニックネームでもよいです)。 ④自己紹介後、まずファシリテーターから前回のミーティングの分析や課題、パブリックコメントを共有します。(2回目以降) ⑤それぞれが日本の精神科医療について「今、感じていること」「取り組んでみたいこと」について対話を重ねます。 ⑥途中で、対話に広がりと新たな展開につながるために、ファシリテーター(研究者)だけで対話を重ねる時間(リフレクティング*)も設けます。
(*「はなす」=外的会話(他者との会話) と 「きく」 =内的会話 (自分との会話、あるいは自分の内なる他者との会話)をわけ、何事かをじっくりと聞き、考えを巡らし、そして、考えたことを相手に返すことです)
奈良県出身。東京の単科精神科病院で主に勤務し、クリニックやデイケア、訪問看護、他の大学教員などを経て、2019年より現職。
<現在の関心ごと>
これまで多職種支援での支援を経験しながら、人とのかかわりや生きにくさ、その人らしい看護について探求してきました。精神看護実践では、看護師自身がケアの道具になります。私自身支援対象者や支援者間の関係性の中でおきる新たな気づき、逆に関係性における葛藤や限界も感じてきました。そのような中で、であったのがオープンダイアローグです。対話実践の中でも、看護師である自分だけでなく、自分をどのようにケアに生かしていくのか、不確実性に耐えうる力を考える機会を得ることができました。このような気づきを皆さんと共有して対話を続けていきたいと思っています。
1954年、鹿児島県種子島生まれ。
岩手医科大学などを経て、2020年より現職。専門は精神看護学。
<現在の関心ごと>
看護師としての臨床は東京都立松沢病院でした。32病棟に1000人余りの患者さんが入院されていて、驚きました。その人たちとの出会いと別れを通してケアとリハビリ、特に就労支援に関心をもちました。世田谷と渋谷で在宅支援の乏しい時代に、生活+住居にブラス就労支援が不可欠だと患者さんに教えられました。そして今では当たり前の訪問看護ステーション。まだ法律さえありませんでした。ハローワークが職安と呼ばれていた時代のことです。そこでないのなら自分たちでやるしかないと生活支援サービスとしてグループホームや相談事務所と電話相談、グループワークをする作業所をつくりました。無償のサービスで。大学に移ってからは事例検討にはまりました。全国の看護師にとの事例検討会に参加して関連した研究などの広がりの先でオープンダイアローグに出会いました。最初は隔離身体拘束をいかになくすかという研究でファンランドに行き、ケロプダス病院の実践を知りました。私はその成果をなんとか日本の病院でも実現できないか、そのためにはどのような教育方法が適しているのかを西池さんと10年余り研究しています。
高知県出身。精神科病院に就職し、以降、臨床経験のほとんどは精神科で積む。精神看護専門看護師として現在は、精神科訪問看護ステーションでも活動。専門は精神看護学。
<現在の関心ごと>
長年、精神科医療の世界に身をおく中で、実践の場や教育・研究活動を通して、素晴らしい出会いや学びの機会を頂きました。一方で、これまでの医療システムの在り方や、医療・福祉の枠組みの中だけで支援を考えることの限界も感じていました。そんな時に、オープン・ダイアローグや未来語りのダイアローグに出会い、これまでのケアのあり方を見つめ直す体験になると同時に、対話のもつ力に可能性を感じています。人との人との「間」にあるものに目を向けること、言葉にならない思いを感じること、声にならない声に耳を傾けること、身体の反応への感受性を高めること等を大切にしながら、対話の本質でもある「人と人の関わり」について問い直しているところです。
1975年、京都市生まれ。大阪大学人間科学部、同大学院修了。博士(人間科学)。山梨学院大学教授を経て、2024年より現職。専門は福祉社会学、社会福祉学。
<現在の関心ごと>
ケアとダイアローグに関心があります。7年前に子どもが生まれてからは、子育てを通じて親の私自身の価値前提がアップデートされ、まさに「育ち直す」日々です。その経験は、『家族は他人、じゃあどうする?』(現代書館)や『ケアしケアされ、生きていく』(ちくまプリマー新書)という形で言語化しています。また、Caring Democracyの視点から、精神医療における「家族丸抱えか施設丸投げか」の二者択一的現実をどう変えられるか、にも興味を持っています。2017年にオープンダイアローグの一つである「未来語りのダイアローグ」の集中研修を受け、私自身の対話のあり方はガラッと変わりました。丁寧に聞くことを重視し、勝手にまとめようとしない、いま・ここを大切にする、不確実さをそのものとして味わう。すると、授業や研修、ゼミだけでなく、夫婦の対話のあり方も大きく変わりはじめました。そこに対話の可能性を感じています。
兵庫県立大学看護学部・教授
NPO法人 Peer 心理教育サポートネットワーク理事長、内閣府こども家庭庁「こども・若者支援体制整備及び機能向上事業」アドバイザー、横浜市立大学客員准教授
<現在の関心ごと>
私はNPO法人PeerNetの理事長の小山といいます。臨床心理士・社会福祉士・公認心理師の有資格者です。当法人では、公的な事業10ほど受託しており、不登校・ひきこもり・虐待・発達障がい・精神障がいなどの状態にあるこども・若者の心理支援や居場所支援、学習支援、就労支援などを行っています。また、個人として、横浜市立大学の客員准教授、内閣府こども家庭庁のアドバイザー、スクールカウンセラー、関西電力送配電和歌山支社のメンタルヘルスアドバイザーなどをしております。
現在の関心事としては3つあります。一つ目は当法人における孤立・孤独予防に向けたこども・若者の居場所作りです。二つ目は横浜市立大学で行っている生きづらさを抱えたこども・若者へのメタバース空間を活用した事業開発と効果研究です。三つ目は、認知行動療法・マインドフルネスをベースとした統合的心理療法に関心があります。
よろしくお願いいたします。
社会福祉法人明石市社会福祉協議会 明石市基幹相談支援センターセンター長
社会福祉法人明石市社会福祉協議会
NPO 法人明石ともしび会理事長
明石ピアサポーターの会